エネルギーバンド

 半導体の原子構造のページで紹介したように、原子核のまわりを回る電子は電子殻に収まっているので、電子が留まることのできるエネルギー状態と留まることのできないエネルギー状態とが存在します。

 この電子の留まることのできるエネルギー状態のことをエネルギーバンドと呼びます。

 エネルギーバンドの中で、電子が電子殻に収まり自由に動き回ることのできないエネルギー領域は価電子帯と呼ばれます。

 一方、電子が電子殻から飛び出し自由に動き回るのに十分なエネルギーを持ち得る領域は伝導帯と呼ばれます。

エネルギーバンドギャップ

 価電子帯と伝導帯との間には、電子の存在できないエネルギー領域があり、この領域は禁制帯と呼ばれています。

 この禁制帯の幅は価電子帯に存在する電子が伝導帯に遷移するために必要なエネルギーに相当し、エネルギーバンドギャップと呼ばれます。

 価電子帯にある電子が、電気、光、熱などからエネルギーバンドギャップよりも大きなエネルギーを得ると伝導帯へ遷移し、自由に動き回ることのできる自由電子となります。

導体、半導体、絶縁体のバンド構造

 導体、半導体、絶縁体のエネルギーバンド構造を模式的に示すと下の図のようになります。

 金属のような導体では禁制帯が存在せず、電子は自由に動き回ることができます。

 一方、絶縁体ではエネルギーバンドギャップが大きいため、電子が価電子帯から伝導帯に遷移することができず、電気を通すことができません。

 導体と絶縁体の中間の性質を持つ半導体は、エネルギーバンドギャップも導体と絶縁体の中間程度の大きさとなっており、外部から十分なエネルギーを加えることで、価電子帯の電子が禁制帯を飛び越え伝導帯へ遷移することが可能です。

 このため半導体では外部からのエネルギーにより、電気を通す通さないの制御をすることが可能となっています。

導体、半導体、絶縁体のバンド構造

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